聖学院中学校・高等学校の希望者を対象に開かれる数学思考力lab。
“数学スキルの再定義”を旗印に同校の先生が推進・実施するプロジェクトで、伝統的な数学とは別に「生きた数学」を身に付けることを目指しています。
テラスはこれまでプログラミング分野の授業プログラムを提供してきましたが、今回「統計」授業のオファーをお引き受けすることに。
しかし表やグラフの読み書きや統計情報から何を思考し、結論へと繋げるかといった基礎的な統計スキルの事前学習は済んでいる状態、と。
その上で学ぶべき統計トピックはどんなものであるべきかを検討しました。
かつ、テラスらしいエッジが効いた内容にしたい。
迷った時は基本に立ち返りましょう。
「なぜ『統計』が存在するのか」
ところで統計とは散らばったデータを共通項でまとめ、分かりやすく可視化して結論を伝えるためにあります。
ではなぜこういうことをする必要があるのでしょうか。
理由は色々ありますが、究極的な目的は
相手を納得させるため
である、と定義できます。
統計は混沌の中から根拠を見出して論説するツールである、と言えばポジティブに聞こえるでしょう。
しかし前提となる根拠の示し方によっては誤った結論を伝えてしまう恐れがあります。
誤解を恐れずに言えば正しいかどうか不明な事柄を(論理的に見える根拠を示して)正しいと思い込ませる武器になり得るのです。
他人に伝える、ではなく“他人に承知させる”ために統計を使う。
結論ありきの自らの主張を通すために統計を使う。
もちろん悪用を推奨するつもりはなく、意図せず結果的にそうなってしまうことだってあります。
しかし自分に悪用するつもりがなくても相手がそのつもりで情報を伝えてくる、あたかも正しい情報かのようにそれらしく見える根拠と共にあなたの目に触れさせてくる可能性は十分にあり得るのです。
そうだ、玉石混淆の情報社会において防衛手段としての統計スキルを身に付ける大切さを伝えよう。