最終プレゼンの前半は主に展示物を使った発表です。
展示物は作るチームとそれを使ってプレゼンするチームに分かれ、チームごとにパフォーマンスを発揮していたのはもちろん、はじめの頃こそギクシャクしがちだったチーム間のコミュニケーションもお互いの歩み寄りの努力で終盤には良い協力関係が築けていました。
プレゼンも実に堂々と、伝えよう/伝えたいという気持ちが前面に出た非常に熱のこもったものでしたね。
今回の合宿の内容は決して易しいものではありませんでしたが、自分なりの表現や過去の失敗経験から得た教訓を加えた様子などから、彼らは見事なまでに理解していたことが展示プレゼンからも伝わってきます。
お招きしたゲストの方にも感じていただけたかと思います。
そしていよいよリハーサルができなかった後半に入りました。
何枚ものボードを使い大人数で行なうパフォーマンスですから動きのタイミングは入念に確認すべき事項です。
芝居の世界でもゲネプロ(=リハーサル)の前に「場当たり」といって演技以外の、役者・小道具の出ハケ、照明・音響のきっかけ等、舞台の段取りだけを確認する稽古があります。
一見地味ですが進行に関わる重要な稽古で、これをやらずに本番を迎えることは通常ありえません。
しかし今回の彼らがそうでした。
全部できてなくても途中まではできている。
しかし「ベストを尽くしたい」という彼らの強い気持ちが、リハーサルを完遂できなかった悔しさとなって表れていました。
やや硬い表情のまま始まったように見えました。
ところで本番というのは不思議な生き物で、稽古場で何十回と練習しても出なかった表現が、舞台の特別な空気や異常な集中力の中で無意識にぽっと出たりするんです。
私も「共演者が迷惑するから出すものがあるなら稽古場で出しておけ」と演出からよく言われましたが、それだけ本番と稽古は別物だということです。
ある意味、いい方向に気持ちを吹っ切ったところもあったのでしょう。気がつくと皆の表情がほぐれ、リハーサルでも見せなかったいい顔になっているではありませんか。
リハーサルでその表情をなぜ見せない?(笑)
そして「あ、これはもう最後までやり切れるな」そう確信しました。
彼らにしてみたら多少の段取りのミスなどはあったかも知れません。
しかし見てる方にとってはそんな些細なことより、伝わってくるものがあるかどうか。
この一瞬のために、この一瞬のことだけを考えて、ずっと準備をしてきたんです。そうして懸命に作り上げたものが伝わらないわけがない。
クロージングセレモニーでゲストの方が仰ったご感想が何よりの証拠です。
終わった後は全員、喜びとも安堵ともつかない、何とも言えない表情を浮かべていましたね。
短い時間の中で、制約をものともせずにここまでのプレゼンをやり遂げた彼らは見事としか言いようがありません。
そして、
「人生、何事もリハーサルができるとは限らない」
「でも逃げずにやり通せばなんとかなる」
この合宿を通じてそんなことも感じてもらえていたら幸いです。
今回の実施において最大限のサポートをしてくださった学校の先生方には心からお礼を申し上げます。
無理なお願いもございましたが「子供たちのためなら」と一肌脱いでくださったことで、最高の思い出になってくれたはずと信じております。
ありがとうございました。