GLBC 問題解決編 [国際基督教大学高等学校] (2019.3)
2019年3月29日〜31日、国際基督教大学高等学校においてGLBC 問題解決編を実施しました。

2019年3月、国際基督教大学高等学校(以下、ICU高校)においてGLBCを実施しました。

GLBCは正解がない問題に取り組むための基礎的なスキルを習得しながら、同時並行で仮想課題に向き合い解決策をアウトプットしていく2泊3日の合宿です。

「仮想課題で実践力が身につくのか?」
「ググられちゃったら一発でフェイクとバレるのでは?」

GLBCで扱う課題は学校と協力しながら限りなくリアルに近い内容に磨き込み、まるで実際ある課題のように仕立てます。しかもググったらバレるどころか、課題を裏付ける情報ばかりが出てくるのでググればググるほど課題の深みにハマっていく、そういった仕掛けになっています。

こうして生徒たちは課題が本物だと思い込み、最後には課題に関わる当事者(これは本当に本物)を招いた場での発表を求められるためオフザケなしの真剣な3日間を過ごすことになります。

課題は昨春と同じく命の決断に関わるワードがテーマ。

命と聞くと身構えてしまいますが、課題そのものは一見すると簡単に解決できそうな内容で解決案も容易に浮かびます。

しかし現実には何十年も解決されず現在も当事者たちを苦しめている。

このテーマはとても多くの立場や思惑が絡み、宗教・文化・個人的ポリシー等で意見が真っ二つに分かれます。

さらにその瞬間に置かれている自分自身の環境・状況によって考えが変わる可能性もあり、一個人ですら一貫した答えを持つことが難しい。「自分ならこうするだろう」という答えが、いざその場に立たされたら決断が揺らぐ可能性を否定できない。昨日なら下せた決断が今日はできないかもしれない。

この決断の揺らぎが解決を困難にしています。

生徒たちは調べれば調べるほど八方塞がりで身動きができなくなり、気がつくとあっさり思考停止に陥る。だから、もがいてでも前に思考を進めなければなりません。

かといって拙速に事を運べば最終発表でゲストにクオリティを厳しく指摘される可能性があるため手を抜けません。冒頭でも書いたようにゲストは本課題の当事者で現在も辛い立場にあり、誰よりも事情をよく知っているからです。

おまけにGLBCでは彼らがすんなりと事を進められない仕掛けがあり、その度に混乱が起きたり1から考え直すよう求められたりします。

想定どおりに事が動くとは限らない。
社会とは不条理であり、変化は受け入れなければならない。

こうしたことを理解しながら、彼らをさらに追い込んでいきます。

とはいえ3日間、大変な思いばかりするのも辛い。

2名の外部講師をお招きして特別な講義をしていただきました。

テーマは麻雀ものづくり。メイン講義とはトピックが全く異なりますが、問題と直面した場合にどのように振る舞い、アプローチするかのヒントを伝えていただきました。

この模様はまた別の記事にて紹介します。

こうして3日間を過ごし、ゲストが会場に到着していよいよ最終発表を迎えました。

質疑応答の時間を設けてゲストの方々から忌憚のない意見や質問が発せられました。

用意していた想定問答は実際に課題に直面されている方からの質問とはまるで違っていた様子です。答えに窮してしまう場面もありましたが合宿を通じて逃げない強さを身につけた彼らは最後まで気丈に対応していました。

おわりに

このGLBCは、ICU高校がSGH(スーパーグローバルハイスクール)指定校となった5年前に「グローバルで活躍できるリーダーシップを学べるSGHプログラムを作りたい、一緒にやりたい」との依頼を受けて始まったプログラムです。

ICU高校へは以前から様々なプログラムを提供してまいりましたが、2014年の夏に実施した初回のGLBCを高く評価いただき、以降、毎年2回・夏休みと春休みの定期開催となりました。

毎回の事前打ち合わせでは「どのようにすれば生徒たちが意識を変えられるか、彼らにとって深い学びとなるか」を学校の先生方と相談し、時には真剣に、時には楽しみながら、生徒たちを苦しめる方策(笑)を考えどんどんとブラッシュアップしてまいりました。

5年間限定だったSGH指定校制度は2018年度で終了となり、ICU高校でのGLBCも今回でキリよく10回を数えます。SGHプログラムとして実施してきた本プログラムでしたがSGHが終わったからといって無くしてしまうのは非常にもったいないとの学校のありがたいご判断をいただき、次回以降も実施することとなりました。

今夏、GLBCは第二章を迎えます。

今回のGLBCはあるべき姿の完成形と先生の評価をいただきましたがこれに甘んじず、今後もさらに進化させていきます。