GLBCキャラバン東京 [特定非営利活動法人キッズドア] (2017.3)
2017年3月30日、特定非営利活動法人キッズドアと共同でGLBCキャラバンを開催しました。

2017年3月30日、特定非営利活動法人キッズドア(以下、キッズドア)と共同でGLBCキャラバンを開催しました。

キッズドアは貧困によって引き起こされる子供の教育格差を是正すべく、様々な学習支援活動をなさっています。

私たちテラスとしてもこれまでに行なってきた活動の中で、教育機会の差が様々な問題の火種になっている可能性をひしひしと感じ、これをいかに解消できるだろうかと模索してまいりました。

「教育機会の創出」という共通した思いを持つことから、まず私たちが昨年より始めたイベント・GLBCキャラバンにご後援をいただき、一方キッズドアの教室に通う生徒をGLBCキャラバンにお招きする取り組みを始めました。

しかしもっと広くキッズドアの子供たちを支援したいと考え、今回、キッズドアの教室に通う生徒を対象としたGLBCキャラバンの共催へと至りました。

オープニング

今回の参加者はキッズドアの教室に通う高校入試を終えたばかりの中学3年生(新高校1年生)9名と大学生ボランティア5名、スタッフ2名、お手伝い2名(中鉢の息子さん)の計18名。

少人数である分、ひとりひとりに目が行き届く!
このメンバーで朝から夜までぶっ通しで行きますよ。

初めましてのメンバーもいるようなので各チームで自己紹介、そしてチーム名を決めます。

チーム名って、それ重要?

実は以前、ある参加者に言われました。チーム名があるのとないのではモチベーションが全然違う。名前があるだけでチームの一体感が増すし、単なる記号で呼ばれる場合に比べて気持ちが上がる、と。

チーム名決めは私たちにとってアクティビティの優先順位が低く、限られた時間の中ではつい省略しがちなプロセスです。しかしこの意見を聞いてから、その後のパフォーマンスに与える好影響を考慮するとほんの5分でいいから費やしてでもやるべき、と考えるようになりました。

午前の部 (講師: 長谷 悠滋)
地頭力を鍛える プログラミング(アルゴリズム)編

コンピューターやロボットといったデジタルデバイスを一切使わない、完全アナログ教材を使ったプログラミング授業。テラスのレギュラープログラムです。

“地頭力を鍛える”は何を学びのテーマにするかで都度、構成をカスタマイズしています。今回は“縁遠いと思っていたプログラミングだけど日々の思考で自然に使ってるんだぜ”をテーマにしました。

オセロシークレットサービスといったいつものアクティビティにテーマに沿うメッセージを挿入し、言いなりケヴィンはチームのアイドル時間(待ち時間)を減らすようファシリテーション方法をアップデートして準備。

あとはキッズドアの生徒さんがどれほど興味を持ち、150分という長丁場を飽きることなく取り組んでくれるだろうか…

はい、全くの杞憂でした!

これらのアクティビティに含まれる要素はアルゴリズム(定式化)論理的思考数学的思考記号化といった言葉だけ聞けば2秒でギブアップしそうな内容です。これらに150分間付き合ってくれたわけです。

「プログラミングなんて嫌い!」と言いながら誰よりもスムーズに進めていた生徒がいましたが、そういった反応も含めて全てが喜びです。それでいいんです。直前まで抱えていた不安は一体何だったんでしょうか。

午後の部① (講師: 原 真善美)
表現ワークショップ

テラス特別講師の原さんによる表現力向上ワークショップ。

自分を知ることで、自分にあった表現方法を開拓する

いつものように鏡を使い、自分の表情が相手に与える印象を自ら知ることから始めます。

表情の次は身体。単なる立ち姿ですら相手にとってはメッセージをキャッチするのに十分すぎる表現であると原さんは言います。意図するメッセージであればいいですが、思いもしないメッセージを伝えてしまっていたら?

無意識で行なう表情や立ち姿こそ表現する上で一番気遣わなくてはならない。なので顔や身体を念入りにほぐしつつ観察していきます。

最後は動きの表現。今回は2時間と少し短い中で“自分を知る”ことに多く時間を使ったため、動きについては駆け足になってしまいました。

それでも最後のアクティビティで、とある生徒が聞こえないくらいの声で「楽しい…」と呟いていたのが印象的でした。思いがけない反応に驚きましたが普段やらないような身体の運動が気持ち良かったのかもしれませんね。

原さん、お忙しい中ご指導くださいまして誠にありがとうございます!

午後の部② (講師: 中鉢 慎)
FUTURE WORK

最後のセッションは未来の仕事を考える「FUTURE WORK」、テラス一番の人気ワークショップです。

ダイナミックに社会が激動する現在において10年後を考えてもその仕事はもう無くなっているかもしれない。また、今はない仕事が新たに生まれているかもしれない。それならば自分がやる仕事は自分で作ってしまえ!

そういった内容です。

これまで数々の学校や場で行なってきましたがみんな非常に頭柔らかにユニークな発想で取り組んでくれました。なかには本当に実現し、仕事にできるかもしれないアイディアも。

今回、キッズドアでは特徴ある4つの案が発表されました。

中でも優勝したFamily Trainは、子連れファミリー専用車両という電車のアイディア。

女性専用車両と同様に、子連れファミリーだけが乗車できる車両で広いドアとゆとりある席、大きい窓やおもちゃ箱等が設置され、気兼ねなく子供と一緒に乗れてかつ子供も退屈しない空間にするそうです。

すぐにでも実現できそうな上、明確なターゲットも存在する。何より人の痛みに寄り添う内容で納得の評価でした。

今回のキッズドアの生徒と丸一日を過ごし、彼らの体力や集中力の可能性を間近に感じられたことは私たちにとっても大きな学びとなりました。

共催に向けてご尽力くださいましたキッズドア渡辺理事長、松見事務局長他多くのスタッフの方々にお礼を申し上げます。

そして長い時間を私たちと一緒に過ごしてくれた受講生たちに、心からありがとう!